「私、人と話すのが苦手なんですよね…」
入会したて、こんなことを言っていた生徒さん(パーソナルトレーナーで稼ぐためのコンサルの生徒さんです)にアドバイスしたのは、「自分が苦手だと思っているから、相手もあなたと話すのが苦手なんじゃないかな?」
当時、ものすごい失礼なことを言ってしまった気もしたが、その生徒さんは最終的に誰からも親しく話せるトレーナーとして卒業していきました。
仲良く話せない、うまく伝える事ができない、会話ができない。
原因は周りにもあるかと思いますが、自己コントロールでどこまでも変わる事ができるということは言っておきます。
絶対的コミュニケーション能力。
さて、パーソナルトレーニングとは、専門職でもあり何を隠そう、接客業です。
・全く知らないお客様と話が盛り上がらない1時間
・話を振ってみるが、反応は薄いお客様
・体験に来てみたけど、担当の人が何となく怖い
・ジムも個室で、どことなく圧迫感がある。
このような状況、誰もが逃げ出したいかと思いますし、その後の契約やトレーニングにも大きく影響してきます。
しかしその原因を、「話すのが苦手だから」「人見知りだから」と決めつけてしまうと先に進めません。
根性論にはなってしまいますが、これには慣れていくしか方法がなく、それができなければパーソナルトレーニング自体も相当厳しいです。
ここは「それでも大丈夫!」など無責任な事を言うつもりもありませんし、接客力を備えてトレーナーデビューした方が成績も変わることは確信しているからです。
もし今、人と話すのが苦手と言う人がいれば是非以下のポイントを実践してほしいです。
・定番!天気を話題にする。
・YES,NOで答えられる質問をしない。
・返事に対して質問を2〜3個投げかける。
・説明しようとせず、提案しようとする。
定番!天気を話題にする。
これは定番中の定番ですが、定番になると言うことはそれだけ万人に共通した話題と言うことになります。
天気、最近のニュースなど、テレビで見る事ができるような話題は共通して知られている事が多く、馴染みやすいものです。(政治の話など賛否が分かれる話題は避けた方が良いです)
ここで拘りたいのは、話題の2〜3歩先の話題を考えておく事です。例えば、
A.今日は暑いですね。
B.そうですねー。
これでは会話も盛り上がることもなく、逆に「空気が重い、盛り上がらない」と言う状況をお互い察知し、壁を張ってしまいます。
そこで、2〜3歩先の話題まで考えておくと、
A.今日は暑いですね。
B.そうですねー。
A.来週以降は涼しくなるらしいですが、体力が奪われますね。
B.疲れやすい時期になってきますねー。
A,Bさんはスタミナ作りのために何か気をつけてますか?
このように、次の話題である時期的な食事の話題に移行する事ができるのです。
もちろん聞きたいことから直接聞いても良いのですが、人は話せば話すほど、心の壁を解いてくれるものです。
なので、相手にも自分にも、話やすく緊張感のない話の進め方に乗せてあげる事が重要ですし、特に話すのが苦手と言う方にはオススメです。
天気の話題ではなくても、相手が興味を持ってそうな話題や、以前盛り上がったお互いの趣味、オススメしてもらったラーメン屋など何でも良いです。
まずは話やすい環境作り、雰囲気作りに徹底してみましょう。これが疎かになってしまうと、どんなにパーソナルトレーニングの中身が良くても、お客様の満足度は高くはなりません。
低くもないければ高くもない、注文通りの料理が出てきたような気分にしては、お客様にとってサプライズになりません。
話を盛り上げると言うことは、一見パーソナルトレーニングと関係ないかと思われますが、非常に大切な要因です。忘れないようにしておきましょう。
アイスブレイクを活用する。
皆さんはアイスブレイクという言葉を聞いた事がありますか?
これは緊張感をほぐし、対面でのぎこちない雰囲気をなくし、お互いコミュニケーションをとりやすくする、言葉通り氷をゆっくり溶かすような働きかけを言います。
このアイスブレイクは私自身も活用しており、初めての会う生徒さんとのカウンセリングや、商談の場でも必ずと言っていいほど行います。
もちろん、緊張している生徒さんにしっかり自分の考えや意見を発信してもらえるような雰囲気を作る目的もありますが、商談など私自身の緊張を取り去るためでもあります。
緊張は伝染し、相手にも伝わります。そしてお互いでぎこちない雰囲気を作ってしまうのです。
簡単にできるアイスブレイクの方法
・ちょっとしたゲームをしてみる
・今まで恥ずかしかったことを含めた自己紹介をする
・最近で一番笑ったことをシェアする
初対面では恥ずかしいこともあるかと思いますが、このようなゲーム感覚でスタートすることで、お互いの気持ちのハードルも下がります。
大事なのは、気分を解しお互いの意見発信ができるようになることです。
気分がガチガチに固まったまま「早速、本題に入ります」などとスタートしてしまうと、相手も言いたいことも言えず私たちも聞きたいことも聞けず、内容の薄い時間なってしまいますので、まずはコミュニケーションの場をこちらから作ってあげましょう。
YES,NOで答えられる質問をしない。
いくら私たちがコミュニケーションを取ろうと話し続けても、それが一方方向になってしまっては会話になりません。
つまり、相手にも話してもらう事が重要であり、そのためのアクションを私たちが意図的に作り上げる必要があるのです。
その手段こそが、YES,NOで答えられる質問をしないという事。
どういうことかと言うと、「はい」「いいえ」で答えられるのであれば、そこで会話が止まってしまう可能性も充分にあり、相手からの発信のチャンスも消してしまうこともあると言うことです。
そのため、私たちから発せられる質問も「はい」「いいえ」で答えられない質問、つまり相手に話もらう質問が望ましいと言うことなのです。
・今日は朝ごはん食べてきましたか? → はい。
・先週のトレーニングの後、痛いところはありましたか? → いいえ。
・このジムはHPを見て来てくださったんですか? → はい。
このように「はい」「いいえ」で答えられる質問によって得られる情報は一つだけになってしまいます。これを少しアレンジして質問を変えてみると、
・今日は朝ごはんは何を食べてきましたか?
→ 今朝はトーストと卵、後コーヒーを飲みました。
・先週のトレーニングの後、何か体に反応はありましたか?
→ 軽い筋肉痛が来たくらいで、特に痛みなどなくて安心しました。
・このジムは何で調べて来てくださったんですか?
→ 丁度近場でジムを探していて、ジムをエリアで検索して見つけました。
このように、会話が成り立つだけでなく情報の量もかなり変わって来ます。
これらは私たちが意図的に聞こうとしていた内容ではなく、話の流れから発生したものであり、この質問がなければ知る事ができなかった情報なのです。
ちょっとした会話が大きな材料になり、ちょっとした会話がお客様の身体作りに役立つ大きなヒントになります。
そのために相手に話してもらうための質問の仕方、誘導の仕方を覚えておく必要があります。
日常会話の中でも、友人や家族との間でも結構です。今からでもスタートできる訓練ですので、早速試してみてください。
返事に対して質問を2〜3個投げかける。
これは先ほどの「YES,NOで答えられる質問をしない。」とペアで考えていただくことをオススメします。
相手の返事に対して2〜3個の質問を投げかけると言うのは、言葉のキャッチボールをしましょうと言うことです。
1度質問した内容に、相手が返事をしてくれます。その返事で話を終わらせないようにしてください。例えば、
・今日は朝ごはんは何を食べてきましたか?
→ 今朝はトーストと卵、後コーヒーを飲みました。
→ 良いですね!朝ごはんは大事ですもんね!
・先週のトレーニングの後、何か体に反応はありましたか?
→ 軽い筋肉痛が来たくらいで、特に痛みなどなくて安心しました。
→ そうですか!では今回は少しだけレベルを上げてみましょう!
・このジムは何で調べて来てくださったんですか?
→ 丁度近場でジムを探していて、ジムをエリアで検索して見つけました。
→ ありがとうございます!
これらは私たちの質問に対して相手が返事をしてくれた後、そこで会話が終わるような返事をしてしまっている例です。
それではここから2〜3個、さらに質問を投げかけてみると、
・今日は朝ごはんは何を食べてきましたか?
→ 今朝はトーストと卵、後コーヒーを飲みました。
→ 良いですね!毎朝決まったメニューで統一してますか?
→ そうですね、忙しい時以外はほぼこのメニューで決まってますね。
→ なるほど、サラダなどの野菜は嫌いですか?
→ あれば食べます。やっぱり野菜も食べた方が良いですかね?
・先週のトレーニングの後、何か体に反応はありましたか?
→ 軽い筋肉痛が来たくらいで、特に痛みなどなくて安心しました。
→ そうですか!疲労回復のために何かやってみましたか?
→ 普段はシャワーですが、久々にお風呂に浸かってみました。
→ お風呂も良いですよね!やはりシャワーだけと違いはありますか?
→ よく眠れた気がしますね。運動後はお風呂を心がけてみます。
・このジムは何で調べて来てくださったんですか?
→ 丁度近場でジムを探していて、ジムをエリアで検索して見つけました。
→ ありがとうございます!近場がやはり通いやすいですか?
→ そうですね、近場じゃないとサボり癖がつきそうで。
→ 大事なポイントですね、遠いジムにも通ってんですか?
→ 実は24Hジムに通ってたのですが、面倒になってしまって。
→ では近場なら運動を習慣にできそうですね!
このように、1つの質問に対してかなり多くの情報を得る事ができ、私たちはもちろんプログラム作成の材料に、お客様はしっかり自分の意見や質問ができるような雰囲気を手に入れる事ができるのです。
業務的な質問になりすぎないように、そして相手の情報をしっかり取り入れる事ができるように、挑戦してみてください。
説明しようとせず、提案しようとする。
多くのトレーナーが、持っている知識を最大限に活かすことに必死になりすぎ、堅苦しい言葉で説明してしまうことがあります。
もちろんこちらもせっかく身につけた知識やノウハウは、存分に使いたいし無駄なくアピールしたいところです。
しかし、教科書のような表現で棒読みされたような話口調では、相手の心にも響かず逆にぎこちないイメージが付いてしまいます。
普段からの日常生活の会話はスムーズでも、専門的な話になるといきなりテンションが変わったり、話すこと自体に必死になってしまう人は少なくありません。
そんな時は、軽いアドバイス、提案のつもりで話してみてください。
▶︎強めの説明口調
・◯◯してください。
・◯◯しないといけません。
・◯◯はそう言うことです。
▶︎柔らかい提案
・◯◯してみませんか?
・◯◯と違う方法もやってみませんか?
・◯◯という考え方もありますよ?
このように、こちらからの指示や強めの説明ではなく、あくまでも会話であり話し合い、そしてトレーナーから発信される提案である事が重要です。
これも先ほどから紹介させてもらってる、どちらかの一方通行にならないようにするためのコミュニケーションの取り方です。
そしてお互いに話しやすく、何でも話せる関係になる事ができれば、私たちからしても苦手克服の手助けとなるはずです。
相手は悩みを持ったお客様、そしてこちらは専門知識を持ったプロのスタッフ、ここでの関係に上下はありません。
柔らかい提案のつもりでコミュニケーションをとる事によって、パーソナルトレーニング中の雰囲気や話す事が苦手な意識を持つ人たちにも非常に頼もしい環境にする事ができます。
これは私たちが緊張せずにコミュニケーションを取るための手段としての方が大きい要因になりますが、結果的にお客様のためにもなります。
1度肩の力を抜いて、柔らかい提案そしてアドバイスに変えてみてください。
まとめ
・話せないのは、自分の中の要因もある。
・そのために、自己コントロールするのが重要。
・天気など万人に共通する話題を活用する。
・YES,NOで答えられる質問をしない。
・返事に対して質問を2~3個投げかける。
・堅い説明ではなく提案として話す。
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